五臓理論は漢方の中核です。 五行と五臓は密接な関係性を持たされています。 木火土金水に、肝臓心臓脾臓肺臓腎臓が配当されています。 さて、この五臓ですが、そもそも漢方で使用されている「肝心脾肺腎」が本家本元で、日本では明治維新の近代化の中、西洋医学が医療として化学的な地位を確立した訳ですが、それ以前の西洋医学研究に、五臓の名称がそのまま使用されてしまったので、ややこしいことになっております。 そもそもの五臓と言うのは、整体の組織や機能を五つの方向性に分類すると言う意味で、実質臓器だけを指しているのではありません。 例えば心臓は血管も含めた整体のパーツでありながらも、表情や感情の中心的な役割も心臓の働きと分類しています。 また肝臓は筋肉も含めて肝臓であり、解毒や、血液の貯蔵、怒り深謀遠慮なども肝臓の働きと考えられています。 こうした思想は、五行論と密接に関係がある訳ですが、天神合一についての知識と、基本的な物理学、生理学、解剖学、自然科学などを総合して判断することで、理解しやすくなります。 個々の五臓の働きについては、何回かに分けて掲載しようかなと考えています。 日本では漢方で使用された臓器の名称が、そのまま西洋医学に取り入れられたため、その働きや形状について、化学的であるかどうかと言う視点での論争が、やや歪な様相で、薦められてきたように思います。 明治政府は一時期、漢方も鍼灸も、化学的ではないとして、 全面的に認めない通達を出しています。 様々な運動を通じて復活を遂げたのですが、それ以後も、漢方も鍼灸も、化学的である部分は採用するが、そうでない部分は採用しないとする方針を変えずに今に至っています。 私自身、化学的であることには大変強い必要性を感じていますので、常に研究し探求すると言うことを実践していこうと考えています。 ですが、化学万能と言うことではないのだなと言うことにも、漢方を通じてしばしば感じさせられています。 実際どの科学分野であっても、減少としては理解できたとしても、原理は解明されていない物が非常に多い訳です。 人間の知っていることなんぞは大したことではありませんよね。 私が漢方を理解しようとするとき、古代中国の文化科学水準で、なぜそんなことが分かったのかとびっくりする瞬間が多々あります。 法則性を仕分けし、仕訳されたものの相互関係を論証し、利用すると言う考え方が、漢方には備わっています。 文化的思想的な背景を理解せずに、化学的であるかどうかと言う一転で、漢方の一部を切り取ってしまうのでは、とってももったいない。 そんな思いであれこれ書き続けようと思っています。 ちなみに鍼灸についても、現代医学的に解明されている部分は、ほんの一部にすぎません。 あしのツボを刺激すると、逆子が治ったり、胃が動いたり、手のあるツボを刺激しつ図ケルト歯科治療の痛み緩和「麻酔作用」が認められるとか、化学的な実験を通じて現象は報告されています。 ではその原理はと言うと、きちんとすべて解明されているとは言いにくいのです。 おそらくは刺激に対する反射であり、おそらくは脳内伝達物質が関与していると言うことは判っています。 ですが逆にひっくり返すと、体中??様々な場所をしげきした場合、どんな反応が出て、どこに反射中枢があって、どんな条件ならそれを検出できるのか、まだまだ分かっていないのです。 西洋医学的に鍼灸を行うと、ブラックボックスみたいなものになってしまいます。 例えばWHOで効果を認めているツボであっても、それは減少を確認しただけで原理は判っていない訳です。 漢方理論を知ることで、現代医学的ではない切り口で、効果を予測できます。 私はその効果を評価していますし、もちろん現代医学的な知識を総合しています。 当然ですが現代人の方が立証されている知識量が多いですから、漢方理論で何を言わんとしているのかさえ分かれば、よりその先輩たちの知識を利用できると言うものです。