風邪は基本的に薬では治りません
風邪を治しているのは自然治癒力です
言い換えると免疫力が強いか弱いかで、風邪をひきやすいかどうかが決まります。
鍼灸には、免疫力を上げる効果があります。
虚弱体質の方には副作用のない鍼灸がお薦めです。
抗生物質や解熱剤には副作用があるから、あまり子供に飲ませたくないと言うお母さんは沢山いらっしゃいます。
当院では、37.5度以上の発熱の場合は、施術を行えません。
医療機関の受診をお願いいたします。
漢方では風邪の急性期には発汗療法を選択します。
- 急性期の症状は→
悪感・発熱・頭痛があり、汗が出ていない/急性喉頭炎・急性扁桃炎の初期です。
鍼治療では基本的には木火穴が選択されます。
背部頸肩部の過緊張を取ると、呼吸がしやすくなります。
治療後熱が出やすいですが、きちんと熱を出させることで、治癒が早まるとされています。
漢方薬では葛根湯(麻黄を含む薬剤中心)とのこと。
鼻炎で鼻水くしゃみ・鼻閉では大腸経の穴を選択することもあります。
漢方薬では小青竜湯。
軽度の鼻炎・喉頭炎の症状があり、悪感で顔面蒼白、元から虚弱冷え性体質では、肝木の使用に注意です。
亜急性期に入っていると確認したら、肺経や脾経大腸経が選択されます。
漢方薬では麻黄附子細辛湯とのこと。
口渇があるような明らかな熱証の場合は、体力を見極めて肺経腎経で津液のコントロールに変更することもあります。
漢方薬では:銀翹散とのこと。 - 亜急性期の症状は→
熱が上下して悪感と発熱が交互に現れてきます。
発汗療法は打ち切ります。
津液のコントロールが必要なのか、太陰の治療が必要なのかを見極めます。
漢方薬では小柴胡湯(柴胡を含む薬剤中心)とのこと。
鼻詰まりの改善を目的とする場合や副鼻腔炎を併発している場合は、顔面部に刺さない鍼「接触鍼」を行うことで、炎症が収まりやすいです。
漢方薬では辛夷清肺湯。 - 回復期の症状は→
基本的には発熱が沈静化しています。
だらだらと症状が続かないように、食欲増進や鼻喉、副鼻腔などの炎症を抑えるための鍼灸を行います。
漢方薬は補中益気湯や黄耆建中湯とのこと。
小児の風邪の鍼灸
小児の風邪の鍼灸では、風邪をひきにくくするための体作りがメインとなります。
免疫力を高めるための鍼灸を行います。
痛みがない接触鍼をを行います。
お灸も直接灸ではなく、温灸を使用します。
月に4から5回程度を半年ほど行うことで、風邪をひきにくい体質に改善していきます。
全体として免疫力を高めることが目的ですので、食欲を増進させ、自律神経のバランスを整えることが重要です。
鼻炎や扁桃炎などを併発している場合には、そちらの鍼灸をを行いながら体質改善を目指します。
風邪は、症状名で医学的には「風症候群」としてまとめられています。
主にウイルスの感染によって上気道(鼻腔や咽頭等)が炎症性の疾病に掛かった状態です。
咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛などの全身症状が現れます。
消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と全身症状を来した状態を、「感冒性胃腸炎」と呼ぶこともあります。
西洋医学の治療法は抗生物質と抗ウイルス薬が中心で他解熱剤や咳止めなど症状を緩和するための薬品が多く使用されています。
抗生物質(狭義の抗菌剤)は、抗「菌」作用しか持たないため、多種のウイルスによって引き起こされる風邪には効果が無いのですが未だに大量に使用されています。
抗生物質には副作用があるだけでなく、多剤耐性菌の温床となっており、以前から大きな問題となっています。
ただし合併症があり、細菌による感染が疑われる場合は抗生物質が必要であると言うことも事実です。
抗生物質を飲んでも飲まなくても、風邪をひいている期間は同じだという調査結果があります。
また、抗生物質が風邪をひいている期間を短くすると言う化学的論文も存在しませんので、安易に抗生物質を飲ませるべきではないと、厚生労働省が通知を出しています。
体の中では常在菌と呼ばれる細菌が共存共栄しています。
抗生物質を飲むとこれらの細菌のバランスが崩れてしまい、大腸炎になり下痢をしたり、ひどい場合には偽膜性大腸炎で血便が混じることもあります。
女性の場合では抗生物質の影響でカンジダと呼ばれるカビが増えて、膣炎を起こしドロドロの液体が膣から流れ出ることもあるとのことです。
また、抗生剤は腸内細菌のバランスを崩すため、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患にかかりやすくなると言われています。
解熱剤にも副作用があると言われています。
発熱は一種の生体防御反応です。
人体は体温を高めることで免疫力を上げているということも明らかになってきています。
例えば、白血球は、病原菌に対する貪食(どんしょく)・殺菌能などを有していますが、その白血球は、体温が平熱よりも1度下がると30%以上 働きが低下し、逆に平熱より1度上昇すると5 – 6倍の働きをするということが明らかになっています。
安易な解熱剤の使用は、免疫力を下げると指摘されています。
結果的に、風の治癒が遅れるとしている医師も存在します。
また、解熱剤には副作用として「脳炎」を発症することもあると言われています。
ただし、高温が長時間続く弊害があることも事実ですので、正確な診断を医療機関で受ける必要があります。
ウイルス性の風邪
- ライノウイルス
普通感冒といわれている。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。 - アデノウイルス
夏に流行。
プールで感染するプール熱として知られる。 - パラインフルエンザウイルス
インフルエンザという名称が入っているが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスである。
喉頭と下気道を起こしやすい。
子供がかかる場合が多い。 - RSウイルス
気管支炎や肺炎を起こしやすい。乳幼児は重症になる場合もある。
春と夏の感染が多い。 - コロナウイルス
冬に感染しやすい。
SARSはコロナウイルスの新種と言われる。 - エコーウイルス
エンテロウイルス
下痢を起こしやすい。
夏に流行する。 - インフルエンザウイルス
細菌性の風邪
- マイコプラズマ
オリンピック熱として知られる(繁殖周期が四年なため)。
肺炎を起こしやすく「マイコプラズマ肺炎」とも呼ばれる。 - レンサ球菌
5歳から15歳の小児に最も多い。
38度から39度の熱と喉の痛み、嘔吐。
「冬」、「春から夏にかけて」と、年間で2回流行のピーク。 - 溶連菌
熱がでて、のどが赤くなり痛む。
手首や首の所や股関節の所に小さな赤い発疹がみられることがある。
他にもあらゆるウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、細菌が風邪の原因となり、その数は200種類以上といわれています。
風邪のワクチンは、このように多種多様な病原体が関与しているので、事実上作成ができないとのことです。
細菌性の感染かウイルス性の感染かは血液検査を行い、CRP値と白血球数を参考にすると鑑別が可能とのことですので、医療機関での検査が必要となります。