股関節の痛みは、神経痛に伴うものや筋肉の緊張や炎症、股関節の変形や形成不全に伴うものなど様々な要因が考えられます。

鍼灸治療では、筋肉の緊張を和らげ、全身のバランスを取り、歪みを解消することで、股関節の痛みを軽減できます。

また鍼灸刺激そのものに、鎮痛作用や抗炎症作用がありますので、自律神経のバランスを整え、全身の緊張を和らげながら、痛みの軽減に繋げていきます。

股関節以外の異常で多く見られるのは、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などによる坐骨神経痛で、股関節が痛いと感じる場合です。

これらの病気は腰痛を伴うケースが大半ですが、たまに股関節痛みだけが生じることもあります。

膝や股関節、腰は体の上半身と下半身を繋いでいるので、常に負担にさらされているといえます。

バランスの悪い姿勢や立ち方、座り方、歩き方など、日常生活の癖や動作によって大きな負荷がかかることもあります。

股関節の前面に痛みがあるときは、突然のダッシュやストップ、しゃがみこみなどによって、腸腰筋という股関節の周辺にある筋肉を損傷している場合があります。

腸腰筋腱膜炎では、長時間座ったままでいると股や腰にだるさや痛みを感じることがあります。

外側の痛みは、股関節を内側あるいは外側に動かす動作や、下り坂を走る際に生じることが多く、転子滑液包炎や外転筋の肉離れが疑われます。

また、外側に痛みがあり、股関節がずれたように感じるときは、バレリーナによくみられるとされる大腿筋膜腸筋のスナッピングが原因の可能性もあります。

外側上方に強い痛みがある場合は、圧迫や外傷によるヒップポインター(骨盤帯の打撲)によって現れる可能性があるといわれています。

痛みのせいで状態を曲げたり捻ることが困難になったり、腫れや変色が生じることもあります。

また、筋肉ではなく、日常の癖や動作によって股関節自体や腰が変形している場合もあります。

オーバーユース・マルユース(体の使い過ぎ)を起こしがちなスポーツも、股関節の痛みを引き起こすことがあります。

サッカー、バレエ、テニス、ゴルフ、サーフィン、スノーボード、スキーなどの他、バスケットボールやフットサルなど、体育館でキュッキュッと音がするようなスポーツでは、股関節に負担がかかりやすいとされています。

股関節は体の中で最大の関節とされ、常に多大な負荷がかかっていると同時に、大きな動きがある関節です。

スポーツをしていて股関節の痛みを訴える人が多いのは、体の歪みや動作の癖によって正しくないフォームで繰り返し運動することが要因のようです。

女性は妊娠・出産によって股関節の痛みが生じることがあります。

妊娠中の体重増加によって股関節への負担が大きくなったり、出産時に足を広げることで産後も痛みが続く場合もあります。

また、妊娠初期と後期には、出産に向けて骨盤が開くように、リラキシンというホルモンが多く分泌されます。

このホルモンは骨盤周辺の筋肉を緩める作用があり結果的に体が歪みやすくなったり、痛みが出やすくなったりすることがあります。

出産後は骨盤が大きく開いている状態になるため、産後すぐに無理に動いてしまうと、歪んだまま固定されて股関節の痛みが続く原因となってしまことが散見されます。

変形性股関節症や形成不全、大腿骨骨頭得壊死症、関節リウマチによる股関節症股関節炎、大腿骨頸部転子部骨折、大腿骨頚部転子部骨折などは、医療機関での画像診断が必要となります。

鍼灸での軟骨再生や、骨の変形の改善は期待できませんが、これらの病気であっても、痛みを軽減させ、炎症を少なくする作用が期待できます。

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