【アトピー性皮膚炎の鍼灸】
アレルギー疾患には免疫機能と自律神経のバランスを重視することが必要です。
その両方に対して作用できる鍼灸をお薦めします。
鍼灸医学の基礎的な科学理論についてはこちらをお読みください。
鍼刺激は中枢神経系に働きかけ、大脳の血流量を増加させると言う、化学的な検証がなされています。
また、鍼灸刺激は免疫細胞を活性化させます。
そうした作用を利用して、私たち鍼灸師はアレルギー疾患に対応しています。
鍼灸は副作用がありません。
患者様本人の自然治癒力を活性化させる、安全な治療法です。
小児から児童の鍼灸の場合、痛みや熱さは感じさせないように施術します。
鍼は接触鍼が基本です。
お灸も温灸で心地よい暖かさです。
小児でも成人でも体質改善が目的ですので、1週間に1度くらいはご来院をお願いしています。
なぜアトピーは先進国にばかりおきて、発展途上国には見られないのでしょうか。
それは、先進国の極めて不自然な生活スタイルがもたらしたと言えるでしょう。
参考になるサイトがありますので、合わせてご覧になることをお薦めしています。
基本的には両親のアレルギー体質を引き継いでいようがいまいが、食事や運動、睡眠などのライフスタイルの問題と、常在菌との付き合い方が自然であれば回復します。
そうは言っても現代人はその文明の力に上がらうことは難しい物です。
そうした状況で身体能力を自然に発揮させる手段として、鍼灸は有効なのです。
では自然治癒力を獲得するために、自分でできることはなにか。
1. 食事はバランスよく
ω-6脂肪酸「リノール酸」は現代の食事に蔓延し、多すぎです。
肉から魚に変えるとΩ3脂肪酸を摂取できバランスが取れます。
サラダ油はできるだけ少なく、低温圧搾方で作られた油を使いましょう。
低温圧搾法の油は高いです。
二の足を踏む場合は、油を少なくしましょう。
トランス脂肪酸は取らないようにしましょう。
ショートニングやマーガリンは、プラスチック油と呼ばれ、工業的に作られています。
アメリカでは使用制限が次々と打ち出されていますが、日本では手付かずです。
体に良くありませんので、菓子類やパン類を購入するときには注意しましょう。
現代の野菜は品種改良で糖含有量が増えています。
農薬も使われています。
肉も抗生物質が含まれています。
何も食べられない?そうではありません、少しずつ欠点はあってもバランスよく食べて、自らの適応能力を鍛えるようにしましょう。
拘りすぎはストレスですので、ポイントを重視しましょう。
油と糖分は控えめに、ビタミンを多くです。
炭水化物は糖と同じです。
沢山食べるのはNGです。
2. 運動
外で運動しましょう。
運動すると脂肪を燃焼させますし、血流も改善しますのでアトピー改善には有効です。
体脂肪率が高いと、熱効率が悪くなります。
熱効率が悪いと免疫力が落ちます。
筋肉が増えると熱賛成能力が増します。
体温は高い方が免疫細胞が活性化されるのです。
一般にアトピーのかゆみを抑えるために体を冷やした方が良いとされています。
確かにそうなのですが、対症療法でしかありません。
体が温まったからかゆくなる。
かゆくなる方がおかしいのです。
冷やせば良いじゃないかと言うのは、乱暴な話で、体を冷やす弊害を無視しています。
低体温の方は癌になるリスクが増大します。
適切な反応を示すためには何が必要かを考えましょう。
外で運動を行う意味は、様々な種類の細菌に汚染されるからです。
現代人は様々な種類の細菌に汚染されるべきです。
アトピー患者の多くで常在菌のバランスが崩れています。
バランスが崩れると、免疫機能の働きが、偏る可能性があります。
いろんな反応を示せると言うことは、様々な状況変化に対応できると言うことだと理解しましょう。
火にあたると焼けるし皮膚がんのリスクが…と言う方もおりますが、日にあたらないとメラトニンを初めとする脳内物質の生成が衰えて、自律神経が乱れます。
また、季節によって気温や湿度が変化することで、整体の??恒常性が確保されやすくなります。
免疫力が上がります。
3. 清潔
基本的には極端に手を洗いすぎることは止めましょう。
消毒は逆効果です。
不潔な方がむしろ良いです。
石鹸や消毒剤をなるべく使用せずに、常在菌を増やして、免疫機能が良く働く体にしましょう。
特定の常在菌が好むよう不潔な状態はNGです。
汚れは洗い流しましょう。
井戸水を使える方は、積極的にすべきです。
塩素で死ぬ菌も多いので、水道水よりずっと良いです。
入浴時は石鹸やボディーソープを避けることで、自らの保湿能力を獲得できます。
4. 睡眠
睡眠は7時間以上取りましょう。
小児幼児は10時間以上、児童は9時間、中学高校生でも8時間程度は眠ってほしいですね。
眠っている間に副交感神経優位になることで、内臓を初め体の再生が行われます。
また、脳の休息とリセットには睡眠が必須です。
脳が健康であることで、自律神経が働けるようになります。
寝ている間に内臓機能が働けないと、免疫力が落ちます。
セロトニンを初めとする内分泌物質が少なくなると、脳機能が大きく低下し、免疫機能と自律神経機能が低下することが分かっています。
アトピーには睡眠が必要な理由がここにあります。
5. 保湿
対症療法としては保湿は良いです。
しかし、石鹸等を使わなくなると、皮脂で保湿されるようになります。
保湿剤を使っていると、その機能が発揮されにくくなる弊害があります。
石鹸を使って皮脂を落としてしまっているのに、保湿剤をつかうことは矛盾ですので、アトピーを治したいなら使わないことです。
どうしてもかゆくて保湿しなくてはどうしようもない場合は、仕方ないですね。
お薦めのスキンケアは、タオル等は使わずに、手のひらや指頭で軽く皮膚をこすって、汚れや垢を落とす方法です。
どうしても油が気になる場合は、薄く石鹸を縫って洗い流してから行うと良いでしょう。
体を洗う前に、ぬるま湯で皮膚をふやかした方が垢が落ちやすいです。
ふやかすとかゆくなると言う人もいますが、垢が溜まったままだと、常在菌の数が増えすぎる
可能性がありますので注意しましょう。
皮膚は1か月程度で新しく生まれ変わります。
保湿剤は、細胞を生きながらえさせるので入れ替わりしにくくなります。
垢が溜まっていても、上蓋があるようなものですので、良くありません。
体の頑強な人は、冷たいシャワーで冷やすとかゆみが収まりやすいです。
冷やしすぎで体調を壊さないようにしましょう。
6. ステロイド等
薬剤師ではありませんので、大きな声では言えませんが、インターネット上に多くの問題点が指摘されています。
ただし一般論として、皮膚から吸収される量は内服薬に比べて極端に低くなりますので、副作用は低減されるとされています。
一時的に症状を改善したい場合、何かの面接とか、結婚式などには良いのではないでしょうか?
それにしてもステロイドは免疫抑制や消炎作用はありますが、症状を抑えることと引き換えに、適切な免疫力を獲得するための要素は、全く含んでいませんね。
しょうがない時に使うのは、良いのかもしれません。
以下、現代医学的アトピーの解説です。
アトピーの原因は、はっきりとしていませんが、いくつかの仮説があります。
その一つが腸内や表皮・肺・口腔内等による細菌叢
表皮常在菌のバランスの乱れによって表皮の黄色ブドウ球菌異常増殖が原因となっている可能性です。
一方、関西医科大学小児科らの研究チームは、腸内細菌叢とアレルギー症状の推移の間に明確な相関を認めなかったとしています。
遺伝的要因も指摘されています。
遺伝子の解析により、マスト細胞、好酸球にIgE抗体を結合させるレセプターや、サイトカインのうちアレルギーの炎症に関与するものの遺伝子が集中している遺伝子座がアレルギーと関連していることが明らかになっています。
両親や兄弟に何らかのアレルギーを持つ場合が多く報告されています。
摂取している油の問題も指摘されています。
流通している油の多くが、高リノール酸食に繋がります。
ω-6脂肪酸「リノール酸」は必須脂肪酸ですが体内でアラキドン酸が生成され、この物質から炎症・アレルギー反応と関連した強い生理活性物質であるω-6プロスタグランジン、n-6ロイコトリエン等のオータコイド類が生成されます。
アトピー性皮膚炎患者に対してω-6脂肪酸(主としてリノール酸)の含有量の低い食事を与えたところアトピーに改善効果が認められたとの報告があります。
肉より魚を多くした方が良いと言うことになります。
原因は→
日本皮膚科学会ガイドラインでは、アトピー性皮膚炎は表皮、なかでも角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる、慢性に経過する炎症と掻痒をその病態とする湿疹・皮膚炎群の一疾患であるとされています。
患者の多くは家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)やIgE抗体を産生しやすい素因を持っています。
アトピー性皮膚炎は血中IgE値増加によるアレルギーが一部の原因と定義されています。
皮膚の保湿に関わる成分であるセラミドの減少も原因と言われています。
入浴すると表皮が柔らかくなり、セラミドが減少することにより、症状が改善されない場合があります。
IgEは総IgEと特異的IgEがあり、特異的IgEではダニなどのアレルギーが悪化要因となっていないかが調べられます。
TARC (Thymus and Activation-Regulated Chemokine) は、血清で測定するケモカインの一種です。
病勢に比例して上昇します
乳児のアトピーは乳児湿疹と混同される場合があります。
炎症は頭部に始まり、次第に顔面に及びます。
そして体幹、手足に下降状に広がります。
幼児期-学童期には、関節の内側を中心に発症し、耳介の下部が裂けるような症状(耳切れ)が見られます。
思春期以後は、広範囲にわたり乾いた慢性湿疹の症状が見られます。
眉毛の外側が薄くなる(ヘルトゲ兆候)。
発赤した皮膚をなぞると、しばらくしてなぞったあとが白くなる(白色皮膚描記)。
乾燥して表面が白い粉を吹いたようになり、強い痒みを伴う。
赤い湿疹、結節などができ、激しい痒みを伴う。
痒疹を伴うこともあります。
湿潤した局面から組織液が浸出することがあります。
慢性化すると、鳥肌だったようにザラザラしたものができ、皮膚が次第に厚くなります。
しこりのあるイボ状の痒疹ができることがあり、この場合難治性となります。
でイボになることもあります。
思春期以降は、手指に症状が表れ易くなり、爪元から第二関節あたりが特に酷く荒れやすいです。
児童期が湿潤型、思春期以降は乾燥型の皮膚炎を起こすのがアトピーの特徴です。
湿潤型は主に首周りや肘膝関節裏、乾燥型は頭皮、額、肩、内腿、内腕に発症し易いのが特徴です。
乾燥型に切り替わるとき、湿潤型の症状は軽快する傾向があります。
思春期以降は、頭皮に大量のフケが出るケースが多いです。
生活指導
入浴、シャワーにより皮膚を清潔に保つ。
ナイロンタオルを中止する。
室内を清潔に保ち、適温・適湿の環境を作る。
規則正しい生活を送る。
刺激の少ない衣服を着用する。(物理的刺激の場合)
換気に気を付ける。(揮発性有機化学物質などの化学的刺激の場合)
爪は短く切り、掻破による皮膚障害を避ける。
顔面の症状が高度な例では眼科医の診察を定期的に受ける。眼囲の皮疹を掻破、叩打することによって眼病変(網膜裂孔、網膜剥離)を生じうることに留意する。
細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症を生じるリスク因子が高い場合もあり、皮膚をよい状態に保つよう留意する。
アトピー性皮膚炎体質の人は一般に皮膚が弱く、子供の頃におむつかぶれを起こしやすかったり、各種の化粧品、塗り薬、洗剤などによる接触性皮膚炎を起こしやすいことが知られています。
アレルギー反応が強い箇所を中心に、結節を伴う痒疹(結節性痒疹)を生じることがあります。
慢性化、難治化することもあり、円形脱毛症の合併も知られています。
細菌に関しては、重度の湿疹病変から進入した黄色ブドウ球菌などによる伝染性膿痂疹(とびひ)をとくに幼児において多く合併することで知られています。
伝染性軟属腫(水いぼ)などのウイルスによる皮膚疾患に感染しやすく、アトピー性皮膚炎患者が単純ヘルペスを罹患すると重症化することがあります。
最近では白内障や網膜剥離を合併するケースが増えてきています。