慢性疲労症候群の鍼灸では一般的に、中長期の治療が必要です。

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鍼刺激と大脳皮質局所血流
ここまで分かった鍼灸医学-基礎と臨床との交流 脳機能および中枢神経疾患に対する鍼灸の効果と現状

薬のように副作用がないので、鍼灸は体に優しい治療です。

慢性疲労症候群「CFS」は、長期間「一般的には6か月以上」原因不明の強度の疲労が継続する病気とされています。
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様々なストレス反応が、過剰に現れることが多く、このストレス反応に対して、鍼灸が効果的であることから、この病気に対しての応用が可能です。

例えば、この病気では、ストレス反応であるコルチゾールの増加が確認されています。
このコルチゾールは、鍼灸刺激によって、低下するとする研究結果が報告されており、鍼灸治療が、免疫機能や、内分泌系に作用することが、分かってきています。

鍼灸の現代医学的な基礎研究についてはこちらをご覧ください。

また、自律神経系の脳内中枢の血流低下が指摘されていますが、鍼灸治療が自律神経に及ぼす反応については、広く知らてています。

さらに、最近の研究で、鍼灸刺激の結果、中枢神経に反応が伝達され、脳内の血流が増加することが分かってきています。

昨今精神科領域でも、鍼灸などの物理刺激が取り入れられるようになってきていますが、それはこれらの研究が進んだことによります。

日本では人口の0.3%にあたる約38万人がCFSを罹患していると考えられています。

患者全体の中で、女性が6~7割程度とされています。

20代から50代に多く見られるとのことです。

うつ病・神経症・更年期障害・自律神経失調症などと、間違えられやすい疾患とされており、日本ではまだ、あまり認知されていないようです。

血液検査や全身検査で、他の病名が付けられない場合で、精神疾患も疑われない場合に、この病気と診断されることがあるようです。
ただし、CFSでは不安障害、身体表現性障害、線維筋痛症については併存疾患として考えているとのことです。

この病気の原因は、まだ解明された訳ではありませんが、様々な現象を、化学的に解析する取り組みがなされています。

次のような症状が見られることがあります。

身体、精神両方の激しい疲労感。
運動や精神活動によって疲労感が増幅し、休息や睡眠を取ってもなかなか回復しない。
働くのが困難なほどの場合もあり、患者の25パーセント程度は、外出困難であり、寝返りをできない場合もあるため、個人差が大きいとされています。

その他、様々な症状があり、全ての症状を満たさなくとも、この病気である可能性は否定できないとされています。

A
発赤や腫れがなく、移動性を示す痛みや筋肉痛、関節痛を訴えることもあります。

B
頭痛やリンパ節の痛み、喉の腫れ、腹痛、顎関節症、顔面筋疼痛などを訴えることもあります。

C
健忘、混乱、思考力の低下、記憶力の低下などの知的活動障害が見られることがあります。

D
羞明、音への過敏、化学物質や食べ物への過敏。
アレルギー症状の悪化。などの過敏性を示すことがあります。

E
悪寒や逆に暑く感じることがある、微熱などの体温調節失調を訴えることがあります。

F
睡眠により疲れがとれない、不眠、過眠、はっきりした夢を見やすいなどの睡眠障害を訴えることがあります。

G
感情が変わりやすい、不安、抑鬱、興奮、錯乱、むずむず脚症候群などの精神的な症状を訴えることがあります。

H
アルコール不耐性、筋肉の痙攣、筋力低下、振戦、耳鳴り、視力の変化などの中枢神経症状を訴えることがあります。

I
口内炎、朝のこわばり、頻尿、体重の変化、動悸、甲状腺の炎症、寝汗、息切れ、低血糖の発作、不整脈、過敏性腸症候群、月経前症候群、発疹などの全身症状を訴えることがあります。

大阪市立大学の研究では、様々な生活環境ストレスが、この病気を発症させる引き金になりうると考えているようです。

ストレスは多種多様であり、個々に感受性が異なるので、固定化することはできません。

物理的なストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)、心理的ストレッサー(怒り、不安など)が考えられますが、その複合的な要因によっても、症状の発症に影響を及ぼすことが推測できます。

医学の発展により、種々の外的ストレスが、「自律神経」や「内分泌系」を介して免疫系の調節に関与していることが、分かってきています。

また、その裏返しとして、自律神経や内分泌系の調節がうまくいかなくなると、自己免疫疾患の発症の誘因になることも明らかになっています。

CFS患者の発症前の状態として広く報告されている、トラウマ・感染・負傷などによる「物理的もしくは精神的なストレス」は、視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)を活性化し、コルチゾール等の「ホルモン」の放出を促進させ、「免疫系」等の多くの体のシステムに影響するとされています。
コルチゾールは、ストレスを受けた時に身体の防衛反応が働き、脳視床下部からの指示で副腎から分泌されるホルモンです。
線維筋痛症等のCFSと関連する疾患において、コルチゾールの異常が見られるとの報告があります。
コルチゾールは、炎症や細胞性免疫の活性化を抑制する作用を持っているとされ、コルチゾールレベルの低下は、炎症プロセスや免疫細胞の活性化につながると考えられています。

その他にもTGF-βの産生異常により、神経ホルモンDHEA-Sの低下・アシルカルニチン異常・グルタミン酸・γ-アミノ酪酸(GABA)の産生低下が起こっていると考えられているようです。

患者の約半数の血液中に、自己免疫疾患の患者の血液中だけにみられるCHRM1(ムスカリン1型アセチルコリン受容体)抗体という特殊たんぱくが見つかっているとのことです。

また、オピオイドμ受容体、セロトニン1A受容体、ドーパミンD2受容体も血液中に存在する患者がいるとの報告があります。

アセチルコリン受容体に対する自己抗体は、重症筋無力症と関連があり、CHRM1が血中に存在する患者は脱力感・思考力低下の症状が強いとのことです。

CFS患者で、脳内の神経細胞の活動性が下がっている部位が見つかる患者の報告があるようです。

自律神経系の中枢の血流低下による、自律神経失調状態が起きうると考えられます。
それに関連して血中アセチルカルニチンの濃度低下により、倦怠感・思考力・集中力の低下などが起きうると考えられています。

他の脳内の血流障害でも、様々な症状が引き起こされると考えられています。

前帯状回・眼窩前頭野(意欲やうつ状態と関係している)・背外側前頭前野(新しい計画を立てたり新たな行動の意欲と関係)・側頭葉(記憶に関連している)・後頭葉(視覚と関連)・ 脳幹部(意識を調節する部分や筋肉との共同運動を調節し、呼吸・心拍・体温調節などの基本的な生命現象の中枢)

現時点での治療法は
漢方薬、ビタミンC・メチコバール・抗うつ薬・免疫グロブリン、眠剤等の処方・認知行動療法・段階的行動療法・ペイシング 適度な運動「運動量に注意」、温熱療法「入浴、温灸など」、芳香療法、鍼灸療法、健康食品等の利用が薦められています。 ビタミンC アスコルビン酸(1,000mgを毎食後)を服用することにより、活性酸素を除去し、組織障害を減少させることができ、微熱が軽減する例があるとの報告がある。

ビタミンCは酸性であり、大量に服用すると胃を痛めることがあるので注意が必要。

メチコバール「ビタミンB12」 毎食後1,000μgの摂取で、睡眠障害にも有効であると報告があり、脱力感・疲労感を軽減し、思考力を回復する例があるとのこと。
メチコバールは末梢神経炎の治療薬として用いられている。

代替医療
コエンザイム、カルニチン、NADH、必須脂肪酸、リンゴ酸、マグネシウム等のサプリメントで症状が緩和することもあるとのこと。

自律神経系の乱れには、緑の香りのアロマテラピーが良いとされ、脳の疲労が軽減するとのこと。 鍼灸療法では鎮痛効果や筋肉の緊張を緩め血行を促進させる効果があり、近年の研究で、コルチゾールの低下や、脳内の血流量増加が確認されている。

反鼻(マムシの肉)・蝮胆(マムシの胆嚢)には、セロトニン前駆物質トリプトファン・各種ビタミン・ニコチン酸などが含まれているためそれらの相乗効果により単体でそれぞれを摂取するよりも症状を緩和させる場合がある(マムシ丸ごと一匹のものとは性能が異なるため注意)。

抗疲労物質
アミノ酸、クエン酸など。鶏むね肉には抗疲労効果が期待されているカルノシンとアンセリンが豊富とされる。