当院はパニック障害の患者様に、鍼灸とカウンセリングで対応しています。
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ここまで分かった鍼灸医学-基礎と臨床との交流 脳機能および中枢神経疾患に対する鍼灸の効果と現状
鍼灸の現代医学的作用についての基礎研究はこちらをお読みください。
鍼灸治療は、副作用がありませんので、離脱症状で苦しんでおられる患者様にもお薦めです。
当院では40分から60分程度の時間をかけて、詳しく症状を伺い、鍼灸治療と共に認知行動療法的アプローチを併用しております。
パニック障害をお持ちの方は、日常生活にストレスを溜め込みやすい環境で暮らしていることが多いとされています。
満員電車などの人が混雑している閉鎖的な狭い空間、車道や広場などを歩行中に突然、強いストレスを覚えるとの訴えが多く見られます。
動悸、息切れ、めまい、喉が苦しいい、呼吸が頻回になるなどの自律神経症状が見られます。
漠然とした不安と空間の圧迫感や動悸、呼吸困難等でパニックに陥り、「倒れて死ぬのではないか?」などの恐怖感を覚える人がおります。
その他にお手足の痺れや痙攣、吐き気、胸部圧迫のような息苦しさなどが上げられます。
多くの患者様は、パニック発作に強烈な恐怖を感じています。
そのため、発作が発生した場面を恐れ、また発作が起きるのではないかと、不安を募らせていきます。
これを「予期不安」と言います。
予期不安は、現実に不安な場面がなくても悪循環を招き、神経質になりやすいです。
パニック発作の反復とともに、患者は発作が起きた場合にその場から逃れられないと妄想するようになる場合があります。
不安が強まると、患者は家にこもりがちになったり、一人で外出できなくなることもあります。
このような症状を「広場恐怖(アゴラフォビア)」と言います。
ここまで症状が進むと、社会的な役割が果たしにくくなり、さらに悪循環に陥ります。
この病気のメカニズムは、全て解明されていませんが、おおよそは推定されています。
症状のメカニズムとしては、まず本能的な危険を察知する扁桃体が活動しすぎて、必要もないのに戦闘体制に入り、呼吸や心拍数を増やしてしまいます。
続いてその発作が再発するのではないかと恐れる「予期不安」と、それに伴う症状の慢性化が生じます。
さらに長期化するにつれて、症状が生じた時に逃れられない場面を回避して、生活範囲を限定する「広場恐怖症」が生じてくると言うものです。
原因はいくつか挙げられていますが、脳の器質的な物「先天的」、薬物やアルコールの影響、社会的なもの「ストレス」などがあります。
従来は精神分析的な葛藤が原因の根本にあると思われてきましたが、近年、認知行動療法の有効性が明確となり、そうした原因よりも、症状に対する患者の対処が症状が進展していく上で重要視されるようになっています。
つまり原因よりも、どのように立ち向かうかが大事なのです。
判りやすく言い換えると、病気の発症原因は様々ですが、克服するための適切な行動が必要です。
また、病気が心理的な要因で悪い方向性に傾くことを理解することが重要です。
命にかかわる病気ではありませんが、生活習慣のクオリティーを下げることで、病気が悪化します。
薬物療法は有効ではありますが、患者様の考え方や思い込みとの関連性も強い病気ですから、そうした心理的なケアが必要です。
また、薬物には副作用が付きまといますし、離脱症状がパニック障害を悪化させるとも報告されています。
世界不安評議会は、ベンゾジアゼピンによる長期の不安治療については、耐性、精神機能障害、認知や記憶障害、身体的依存、ベンゾジアゼピン離脱症候群のために推奨していなおりません。
ベンゾジアゼピンの断薬時に患者の10%が遷延性離脱症候群を経験し、それにはパニック障害も含まれると報告されています。
過労や、強いストレスは症状を悪化させる可能性がありますので、注意が必要です。
脳の器質的な原因としては、脳のノルアドレナリンにより引き起こされる不安感がいきすぎないように抑える働きのあるセロトニンという神経伝達物質が不足したり、または受容体が鈍くなっているためではないか、という説があります。
また、セロトニンの過剰によるという説もあります。
50~65%に生涯のいつの時点かにうつ病が併存し、また全般性不安障害25%、社交恐怖15~30%、特定の恐怖症10~20%、強迫性障害8~10%の併存があるといわれています。
パニック障害患者の8割以上は、何らかの睡眠障害を併発していると言われています。