当院には冷え性の患者様が多くいらっしゃいます。
冷え性と共に腰痛症があったり、不妊症や不育症であったりするわけですが、低体温になるとさまざまな弊害が起こりえます。
鍼は多くの熱賛成と、脂肪の消費に関与している筋肉に直接刺激が可能な、治療方法です。
筋肉に存在する需要期を刺激することで、血流を良くするだけでなく、代謝を活発にすることが可能です。
またホームページでも解説していますが、お灸の作用をプラスすることで、より効果的な施術が可能です。
 今回は、 冷え性と関係のある基礎代謝について、解説します。
基礎代謝と言う言葉を聞いたことがあると思います。
基礎代謝」とは、何もしていなくても消費されるエネルギーで、人が最低限生きていくために必要な部分を指しています。
基礎代謝は1日に消費されるエネルギー量(カロリー)の60%~70%を占めており、20代の成人男性では1日に1500キロカロリーくらいは必要とされています。
残りの30%~40%の内、
20%~30%が「活動誘発性体熱産生」と言われるもので、生活に必要な身体活動やスポーツなどで消費される部分です。
他の10%~20%が「食事誘発体熱産生」と言われる部分で、消化活動に必要なエネルギーです。
日本人の平熱は、平均36.89℃とされています。
人間は変温動物ですので、何もしないで生きていくだけでも、体温を維持し、細胞が活動し続けなければなりません。
体温が20度を下回ると、心臓が止まってしまいますし、体温が42度を上回ると、酵素の働きが適正に保たれず、生命活動に支障をきたします。
人は活動レベルの低い睡眠時「早朝」に体温が最も低下し、に日中に活動レベルが上がりますので、夕食の時間帯くらいに熱が最も上がります。
通常1日のうちの体温の変動は1℃以内におさまります。
人は体温がほとんど変化しない「恒温動物」です。
体温を一定に保つことで、常にさまざまな運動を行うことができ、気温の変化に左右されずに、生きていけるのです。
これが変温動物との違いなのですが、実はこの体温維持のために、人はエネルギーの多くを費やしているのです。
代謝とは体内でおこる、化学反応のことで、人の活動は化学反応で成り立っていますので、熱を作るためだけではなく、運動をしても、消化をしても、物を考えても代謝は常に引き起こされているのですが、その内の生命維持に必要な代謝のことを基礎代謝と呼んでいます。人はただ生きている訳ではありませんから、食べたりおしゃべりをしたり、運動をしたり、考えたりして、常に化学反応を引き起こしています。
活動をすればするほど、熱が産生されます。
人の場合、エネルギーの75%以上が熱に変換されているとされています。
つまり、何かをしようとしてその運動に使用されるエネルギーは25パーセントで、75パーセントは熱に代わる訳です。
この熱が多すぎると、汗を出して放熱をし、体温を一定に保つ訳ですが、これは自律神経の働きです。
自律神経は視床下部の指令を受けて、血管や汗腺の開閉をしたり、心臓のポンプ作用の調整をしたり、消化器系の活動を調整したりしています。
寒いと体が震えますが、これは視床下部が働いて、本人が意識しなくても、自律的に筋肉を動かしているのです。

 さて、やや小難しい話になってきましたが、ここからが本題です。
実は現代日本人は基礎代謝が落ちていると言われています。
なぜかと言いますと、大きく分けて、二つの要因が上げられます。
 1.肉体労働の減少。
社会構造的にホワイトカラーが多くなってきているのもそうですが、家事労働も簡素化されましたし、肉体労働にしても、工場生産や工作機械の充実、輸送車両の充実で、減少しています。
 2.住環境の改善。
くウラーや暖房器具の充実で、体温調節を自らしなくても快適な空間が提供されています車社会で、外を歩く機会も減っています。外気に触れる機会が減っているのです。
 
肉体労働の減少により、日本人の筋肉量の減少と体脂肪率の増加で、容積に比較して、熱賛成能力が少なくなってしまっています。
また住環境の充実は、視床下部の働く機会を減少させ、必要な時に熱を作れと言う指令がおろそかになっています。
 これらに加えて、特に女性では、体が痩せている方が良いと言う風潮で、ダイエットにより、筋肉量を減らしてしまい、基礎代謝が落ちてしまうと言うことも、問題となっています。
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  ご存知ですか?基礎代謝の内、約40%が筋肉で消費されています。
基礎代謝に加えて、生活活動や食事に伴う骨格筋や平滑筋の活動を加えると1日のエネルギー消費量の24%~28%が筋肉で消費されているのです。
つまり筋肉量を増やせば、エネルギーを消費しやすく、熱賛成能力も高まると言う、一挙両得が成立すると言う訳なのです。
筋肉のエネルギー源は脂肪ですので、体脂肪率を下げ、代謝効率を上げ、冷え性を改善すると言うことにつながる訳ですね。

 脳トレも重要です。
皮膚皮下組織の温度が下がると、神経を介して視床下部に伝わります。
視床下部が低温を感知すると、自律神経の交感神経が活性化して褐色脂肪組織や白色脂肪組織にノルアドレナリンが放出されます。
細胞内の受容体を刺激することで白色脂肪組織では、脂肪分解がおこります。
また赤色脂肪組織では、マクロファージが活発になることで、、発熱遺伝子発言を活性化します。
脂肪酸の動員エネルギー消費を増加させるので、熱賛成能力が向上します。
甲状腺ホルモンや黄体ホルモンなどにも代謝を亢進して熱の産生を促す作用があるため、脳と体の健康が、エネルギー代謝には重要なキーワードとなっています。
つまり、何時でも一定の温度に保たれた環境では、必要な熱賛成メカニズムが、発揮されにくくなります。
室外に出て活動することが重要なのです。

 筋肉と脳は一体化して考えるべきです。
筋が収縮するとき、場合によっては安静時の約10倍以上の熱が産生されます。
スポーツは熱賛成能力の向上に、もってこいです。
運動すると熱が沢山作られる訳ですが、安静にしていても筋肉は熱を作っています。
UCP-が、筋の熱産生に関係していることが、近年わかってきています。
UCP3は骨格筋の「速筋」のミトコンドリア内膜に存在しています。
ミトコンドリア内膜の脂肪酸の通過や、活性酸素の除去などを助けることで、代謝を活性化します。
UCP1は褐色脂肪細胞に特異的に存在し、主な機能は脂肪燃焼と熱産生です。
交感神経の昂進→β3アドレナリン受容体の刺激は、UCP1による熱産生を活性化します。
また、白色脂肪細胞の中性脂肪の分解も促しますので、体脂肪の減少に寄与します。
UCP2は全身的に分布しており、白色脂肪組織や骨格筋、脾臓、小腸に多くあります。
白色細胞のUCP2は刺激によって中性脂肪を分解して脂肪酸を送り出します。
視床下部は自律神経系の中枢です。
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っています。
筋肉や組織の、様々な受容体への働きも、視床下部と自律神経系の一体運用のなせる技なのです。