阪大、うつ病改善物質を特定 新規治療薬に期待
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H8Z_V20C17A4000000/
チームは、マウスの海馬を調べ、感情の動きなどに関わる脳内の神経伝達物質「セロトニン」の刺激を受け取る複数の受容体のうち、「セロトニン3型受容体」を持つ神経細胞から、神経細胞の新生を促す「インスリン様成長因子1(IGF1)」という物質が分泌されていることを発見。
この受容体に働き掛ける化合物をマウスに投与すると、IGF1の分泌と神経細胞の新生が促され、行動実験では、うつ状態が改善した。〔共同〕

これ海馬でIGF1の分泌と神経細胞の新生が促される物質と言うことですが、裏を返すと、健常な人ではこの作用が十分なされていると言うことですね。
また認知行動療法を初め、鬱状態にある人に対して、適切な脳「海馬のの活動を促すような物理的刺激が効果を果たすと言うことになるでしょう。
例えば瞑想をすると脳の中にある「海馬」という記憶の中枢を司る場所の体積が5%大きくなることが知られています。
逆に加齢により海馬の活動性が落ちますが、高齢者にうつが増加することは広く知られています。
その他にも脳が委縮するような様々な病気や中毒で、鬱傾向が現れるのは、この海馬の問題も大きいでしょう。
しかし、鬱状態に至った原因となるイワユル人の記憶と結びついた自律神経反応には、適切な記憶の管理と適切な生活習慣を行うことが必要であることは変わりありません。
さらにうつ病となっているからには、海馬の活動性を上げて需要期と神経細胞の活性化を促さなければなりません。
これまではストレス回避と言う視点でのうつ病克服がメインでしたが、これからは新しい海馬の働きを獲得して、セロトニンを積極的に受容できる認知行動療法へと言う流れが重要になるのではないでしょうか?
具体的に言うと、仕事を続けているとウツが悪化すると言う判定は、そんなに単純化はできないだろうと言うことになります。
なぜなら休めばストレス回避になり、休息もとれるかもしれませんが、適切な生活を取り戻す取り組みがなければ、海馬の働きが取り戻せないかもしれません。
場合によっては、仕事をしていない方が海馬の働きを悪化させる場合すらあるでしょう。
現に仕事を休んだのにウツが悪化したと言う事例はやまほどあります。
仕事を止めるとか、休むとか、ストレスを回避するとか言うのは、実はきわめて抽象的な言い回しです。
あるストレスを回避するために行ったことが、異なるストレスを招くことはいくらでも考えられるのです。
そうした意味では、この研究が進み新薬が開発されて、セロトニンを受容できるように海馬を活性化させることができても、直面するストレスの管理や、実際に行わなければならない生活の室の問題は変わらず存在し続けます。
このように西洋医学が進歩し、メカニズムが解明されてきておりますが、やはり調和を重要視する漢方的な発想が優れていることが際立ちます。
当院の鬱病のページでも説明しておりますが、人の感情は浮き沈みがあるから正常ですし、不快な感情も快楽も、両方必要です。
精神活動だけでなく肉体も重要です。
食事も重要です。
労働も適切でなくてはなりません。
そうした中で、精神の安定が養われるのです。
おそらく良い薬ができて、セロトニンが受容できるようになっても、感情の安定や、体全体の調和のためには、多角的な視点を抜きにはできないでしょう。
当院ではそうした多角的な視点で、うつ病やパニック障害などのいわゆる心の病に対応しています。
鍼灸刺激により脳内の血流量が増えることが知られており、また様々な研究で、鍼灸刺激により、脳内の自律神経中枢を初めとする反射がおこり、自律神経を調節することができることが解明されています。
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