青熊宇都宮治療院では、不妊症で妊娠を希望する方、不育症で流産を繰り返す方、更年期障害で体調が優れない方、鬱病の方などから、サプリメントに対する質問を、多くいただきます。
医食同源と言う考え方が、漢方の基本ですので、科学的なデータと照らし合わせた情報を元に、食事を見直しつつ、当院が行う鍼灸治療の効果が相乗的に上がるのではないかと言うように考えています。
 今回はDHAです。
 DHA(ドコサヘキサエン酸)は、健康によい油として、多くの人に知られています。今回はこのDHAについて、ウィキペディアと「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)の情報を元に、できるだけ分かりやすくお伝えしようと思います。
 ドコサヘキサエンさん「DHA」は、不飽和脂肪酸のひとつで、ω-3脂肪酸に分類される化合物です。
DHAはα-リノレン酸から体内で合成されます。
体内合成経路は二つありますが、ここでは説明を省きます。
α-リノレン酸は体内で合成できませんので、必須脂肪酸と言われているのはこのためです。
体内でα-リノレン酸を原料としてEPAやDHAを生産することができるのですが、α-リノレン酸からEPAやDHAに変換される割合はたったの10-15%程だと言うのです。
これでは、なかなか必要量が確保できません。
したがって、私たちは必須脂肪酸を多く含む食品を、摂取しなくてはなりません。
 EPAやDHAは1日に合計で1g以上の摂取が望ましいとされています。
タラ、ニシン、サバ、サケ、イワシ、は、EPAやDHAのようなω-3脂肪酸に富んでいます。
ただし、どんな食品でもとりすぎれば害を生じますし、多くのサプリメントと同様に、宣伝と実際の科学的な根拠は、必ずしも合致していませんので、注意しましょう。
 DHAは不飽和度が高いので、細胞膜の流動性を保つ役割があります。
例えば、赤血球では、動物性脂肪に多い飽和、脂肪酸は赤血球膜を硬直化し、逆に魚に多いω-3脂肪酸は、赤血球膜を柔軟化するといわれています。
またDHAは、神経細胞の細胞膜を柔らかくし、樹状突起を増やしたり、軸索の成長を促して脳・神経系の健全性を保ちます。
DHAは精液や脳、網膜のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分です。
と言うことですので、細胞膜を柔らかくし、様々な物質の流動性を高めて、新陳代謝の促進や、体内合成物質の伝達の促進に寄与すると考えられます。
こうしたことから不足することによって、様々な弊害が現れることが推察されます。
 DHAの摂取は血中の中性脂肪(トリグリセライド)量を減少させ、心臓病の危険を低減するとされています。
・ストレスを受けている人の攻撃的な行動を抑えるのに、DHAの経口摂取で有効性が示唆されています。
DHAが不足すると脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告があります。
・統合運動障害の小児の運動障害の改善に、ビタミンEとの組み合わせで、効果が示唆されています。
・早産児の生後の視覚的注意力の向上に、経口摂取で有効性が示唆されています。
小児の視覚機能の向上に、DHAの経口摂取が有効かもしれません。
・加齢黄斑変性の予防に経口摂取で有効性が示唆されています。
  。アルツハイマー型認知症や鬱病に対して、DHA摂取が有効と言う話と、無効と言う話が両方存在します。
・DHAを含む魚油の経口摂取がアトピー性皮膚炎に対して有効性が示唆されています。
アトピーの妊婦がDHAやEPAを摂取することにより、子供のアトピーが軽減されたと言う報告があるようです。
魚油を多く含む魚の摂取量が高いと前立腺ガンのリスクが低下することが報告されています。
 近年日本人の食時の欧米化で、魚を食べる気会の現象により、DHAが不足して、脳内にもっとも多い「DHA」と言う連想から、DHA→頭が良くなると言う発想が生まれたのではないかと思われます。
DHAを含むω-3脂肪酸の摂取が、うつ病やアルツハイマー型認知症治療に効果があるか、日本でのエビデンスは希薄です。
日本の患者数の年度ごとの増加傾向には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられています。
ですので、魚を食べないことが、鬱が増えた元飲かどうかは分からないのです。
ただし健常者と比較して、うつ病患者はω-3脂肪酸の蓄積量が有意に低く、ω-6とω-3の比率は有意に高かったことが指摘されています。
うつ病患者においては、ω-6脂肪酸からアラキドン酸を経て生成される炎症性の生理活性物質である、エイコサノイドのレベルが高いということが示されています。
と言うことですので、足りないものを補充すると言う意味でDHAを摂取る津ことは、良いと思われますがそれが病気の改善に寄与するかどうかまでは、科学的には示されていないようです。
 妊娠出産に関連して、シーフードをたくさん摂取するところほど母乳内のDHAは高く、産後うつ病の有病率は低かったとされています。
母体から胎児への転送により、妊娠・出産期には母親には無視できないω-3脂肪酸の枯渇の危険性が高まると推察されます。
その結果として産後のうつ病の危険性に関与する可能性があると考えることもできるようです。

 注意点→
1日3g以上のDHAの摂取で、凝血能が低下し出血傾向が起きることがある。とされています
DHAの摂取が悪玉コレステロールのLDLを大幅に上昇させることが分かっています。

 参考→DHAは脳内にもっとも豊富に存在する不飽和脂肪酸で、EPAは脳内にほとんど存在しません。
これは投与されたEPAは脳内に移行したのち,速やかにDPAさらにはDHAに変換されるためだとされています。
また動物実験や人でのモデル実験で、脳の脂肪酸の取り込みには、何らかの選択システムが関与していると考えられています。
ラットの動物実験で脳のリン脂質においてDHAを摂食すると脳リン脂質中のDHAの割合は増加したが、DPA及びEPAは摂食しても脳のリン脂質脂肪酸組成にはほとんど影響を及ぼさなかったとされています。
そのためDHAは脳関門を通過できるが、EPAを含めた他のω-3脂肪酸は脳関門を通過することができない可能性が示唆されています。
また、ヒトのモデル細胞実験で各種脂肪酸によるDHA取り込みに対する阻害効果を検討した結果、リノール酸、アラキドン酸及びエイコサペンタエン酸(EPA)によって阻害され、オレイン酸によって阻害されなかったとのことです。
従って、DHAは何らかの脂肪酸選択的な輸送機構を介して取り込まれることが示唆されています。
サプリメントのページに戻る→