青熊宇都宮治療院では、不妊症や不育症、更年期障害の他疳の虫や不登校、鬱病、パニック障害、自律神経失調症などの患者様がいらっしゃいます。
鍼灸治療の他にも、運動や食事を通じて、症状を改善する方向に向かわせるのが、本来の東洋医学です。
昨今、さまざまな栄養機能食品、サプリメントが出回り、何を選べば良いのかと、多くの患者様に質問されます。
当院は鍼灸マッサージ治療院ですので、サプリメントは販売いたしませんが、医食同源の考え方から、できるだけわかりやすく解説したいと思っています。
今回は亜鉛です。
 この情報は、ウィキペディアと「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)の記述を元に、記しています。
 
 亜鉛は遺伝子発現、タンパク質合成など多くの生体の反応に関わっている重要不可欠な物質です。
亜鉛は必須ミネラル(無機質)16種の一つです。
生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70 kgのヒトで平均2.3 g持ち合わせています。
亜鉛は、100種類を超える酵素の活性に関与しているとされています。
また酵素の構造形成および維持に必須であるとされています。
人体内での酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など、さまざまです。
例えば炭酸脱水酵素や加水分解酵素の活性にかかわって、DNA や RNA のリン酸エステルを加水分解によって切断するので細胞分裂に大きく関係しています。
また、免疫機能全般に大きな影響を与えており、亜鉛の欠乏は成長障害、食欲不振、味覚障害などを起こすとされています。
私たちは亜鉛を口から摂取する必要があります。
体の中では、骨にもっとも多く蓄積されています。
続いて眼球、肝臓、筋肉、腎臓、前立腺、脾臓に多く蓄積されており、体液では精子にもっとも多く含まれている重要な物質です。
多くは便から排出され、汗や尿からも体の外に出ていきます。
男性の場合、適度な亜鉛摂取は精子形成の増加および性欲増進の効果が見られるとされていますので、男性不妊症に有効な場合が想定されます。
2005年版の「日本人の食事摂取基準」では、推定平均必要量:8 (6) mg/日、推奨量:9 (7) mg/日、上限量:30 (30) mg/日(数値はいずれも成人男性、かっこ内は成人女性)とされています。
体格が大きければ、それだけ必要量は増えます。
 亜鉛含量の少ない食事の摂取、亜鉛と結合し小腸での吸収を妨げる食物繊維の取りすぎ、鉄や銅の過剰摂取などが原因で、亜鉛欠乏に至ることがあります。
食物中にフィチン酸が含まれていると亜鉛の吸収が妨げられます。
フィチン酸は穀物や豆類に多いため、メキシコ料理やペルー料理など、赤身の肉が少なく、穀物や豆類の摂取が多い国の人々は、亜鉛欠乏委なりなすいと言われています。
症状は細胞分裂の頻繁な箇所に影響が現れるとされています。
亜鉛欠乏症状としては
味蕾の減少による味覚障害
精子形成の減少、無月経
貧血、皮膚炎、免疫機能の減弱
甲状腺機能の減弱、創傷治癒の遅延
一般に亜鉛の経口摂取により、症状が回復する病気は、亜鉛欠乏の素地がある場合が多いようですが、次のような物があげられます。
栄養失調症。虚弱体質。亜鉛欠乏症。
ウィルソン病。味覚減退。胃潰瘍。腸性先端皮膚炎。
拒食症「神経性食思不振症」。ニキビ。低亜鉛症の人における再発性のアフタ性潰瘍。
・栄養失調または亜鉛欠乏症の小児における急性下痢の期間症状の軽減
亜鉛欠乏症者の鎌状赤血球症。消化性潰瘍の治療および予防。胃および十二指腸潰瘍を改善する可能性
などが挙げられます。
また胃腸機能の減衰および免疫機能低下による下痢が見られると、
亜鉛を含む栄養素の摂取不良を招き、欠乏がさらに悪化する悪循環を招くことがあります。
亜鉛はインスリンの構造維持に必須でもあり、糖代謝にも関与しています。
さらに、ビタミンAの活性化にも関与するため、亜鉛の欠乏により、ビタミンA欠乏症が現れることもあります。
 
 研究報告としては次のような物があげられます。
亜鉛不足で慢性再発性アフタ (消化管粘膜に浅い小潰瘍を形成する病変)の患者が亜鉛の摂取で症状が改善したとする報告がありますが、十分な亜鉛がある場合には効果がないとされています。
非アルコール性肝硬変患者が亜鉛の摂取で、重症度(Child-Pugh)の改善、血清中銅、クレアチニン濃度の低下が認められたという報告があります。
・貧血のある妊娠中期の助成が亜鉛を摂取することで、インスリン様成長因子-Iと総鉄結合能が増加し、低体重児の出産が少なくなったとする報告があります。
亜鉛のサプリメントは患者の体重を増加させ、抑うつ状態を改善する可能性があるとされています。
注意欠陥過活動性障害、(ADHA)の児童の多動や衝動性、社会的不適合の症状の改善に従来の治療法との併用で効果があるようですが、注意欠陥は改善しないと考えられるとのことです。
ADHDの小児患者では血清中亜鉛濃度が低いという報告があります。
小児に亜鉛や鉄、葉酸などをサプリメントで摂取させたからと言って、IQや運動機能には特段の変化は認められなかったそうです。
抗酸化作用のあるビタミンとの併用摂取で、加齢性黄斑変性の進行を遅らせるのに効果があるようですが、亜鉛の単独せっすでは効果的でないとのことです。
カロテン、ビタミンE、びたみんCなどとの併用が良いとされています。
大規模疫学調査では、食事からの亜鉛の摂取が多いと加齢性黄斑変性の進行を抑制する効果があるとされています。
亜鉛と抗酸化作用のあるビタミンを共に摂取しても、白内障には効果がないことが示唆されています。
・耳鳴りの治療には効果がありません。
・単純ヘルペスに外用で効果があります。
ニキビの治療に経口摂取で、またエリスロマイシンとの併用で外用でも効果があります。
成人の風邪の予防や罹患期間の短縮に対する効果はトローチ剤摂取の有効性が示唆されていますが、小児に対しては、有効との研究と無効との研究が双方存在します。
おそらく栄養の偏りがある、亜鉛欠乏ぎみの小児には、有効と思われます。
高齢者が亜鉛を摂取することで、細胞性免疫が向上すると考えられています。
亜鉛等の血清中濃度が低い高齢者に、亜鉛を摂取させることで、感染症の罹患率が下がる可能性があります。
亜鉛は栄養不良の3ヶ月から5歳までの子供の肺炎の発生率を低下させると言う研究があります。
亜鉛は肺炎のリスクを20%まで減少させると言う研究があります。
ハンセン病患者は亜鉛濃度が低いことがわかっており、医薬品との併用で亜鉛の経口摂取は有効性が示唆されています。
鉄と葉酸のサプリメントを摂取している妊娠中の女性が、亜鉛を多く摂取すると、鉄材の効果を減弱させる可能性があります。
アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬およびリウマチに由来する関節炎、脱毛症には効果がありません。
閉経後の女性に、銅、マグネシウム、カルシウムを共に摂取することで、骨量の減少を抑制する可能性があります。
亜鉛欠乏で成長不良の子供には、経口摂取が有効です。
ビタミンA欠乏症の子供のビタミンA状態を改善するのに効果的です。
亜鉛はビタミンAと組み合わせる事により、お互いの働きを促進するとされています。
 
亜鉛は過剰に摂取すると危険です。
過剰により神経症状、水様便、めまい、HDLコレステロールの低下、低銅血症
吐き気、嘔吐、腎障害、免疫障害、上腹部痛、消化管過敏症、
などが考えられます。
経口摂取で許容摂取量40mg/日以下であれば安全とされています。
40mg/日以上摂取でも安全とされていますが、銅の吸収を阻害し貧血になる恐れがあるとされています。
ある研究報告では、亜鉛80mg/日と銅2mg/日の併用で、6年間副作用なしに使用できたということです。
6ヶ月までの新生児:4mg、生後7~12ヶ月:5mg、1~3才:7mg、4~8才:12mg、9~13才:23mg、14~18才:34mg)が許容量であり、それを超えて摂取すると、危険とされています。
・妊娠中、授乳中でも、適量の摂取は健康増進につながりますが、過剰摂取は危険です。
妊娠後期に多量摂取すると、未熟児産や死産の原因となる可能性があるとされています。
授乳中に多量摂取すると、乳児の銅欠乏症が起きることがあります。
・アルツハイマー病では、亜鉛の蓄積が関係しているとする研究があります。
・長期の過剰摂取により、銅欠乏を引き起こす可能性があります。
長期の過剰摂取で、前立腺肥大や、前立腺がんのリスクが高まります。
 
100 g中に含まれる亜鉛の量 (mg) の比較。
カキ – 7
レバー – 6
牛肉 – 4
小麦 – 4 – ただし土壌により、1/10にまで下がる場合がある
チーズ – 3
納豆 – 3
エビ – 2
卵 – 1
牛乳 – 0.4
 
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