陰陽と言う概念が漢方にはあります。 中国の古典にはどこにでも出てきますし、日本伝統文化にも根付いています。 ですが案外多くの方に、浸透しているとは言いがたいようです。 と言いますのは、この陰陽は、どこに支店を置くかによって常に作用の異なる物事を対比しなければならないからです。 漢方では陰陽の物理的法則を基礎に、様々な生体反応を陰陽で表しています。 生体反応では水の動きと、物質の形態に重きが置かれていると言えます。 人体の70パーセントあまりは水ですので、その水の動きを客観的に観測することで、病の性質を判断しています。 簡単に説明しますと、 水の動きが活発で流動性が高まった状態は陽であり「盛」と言うことになります。 水は分子の動きが小さくなれば氷となり、大きくなれば水蒸気となります。 人の体でも水の動きが悪い状態は、停滞であり、寒であり陰「衰」と表現されます。 人の体の寒熱と水の関係性は非常に強いのです。 水の寒熱に対して、その物質的裏付けを表現しているのが、虚実と言うものです。 虚実は大商、多少、燥湿などとも表現されます。 これは、体積が大きいか小さいか、密度が大きいか小さいか、性質的に純粋化不純化を表現したものです。 体が大きければ大きな力を発揮しやすいし、小さければその逆となります。 体が大きくてもたいして運動もせずに、筋肉が足りなければ力は発揮できません。 体が大きいとか小さいとかの他に、栄養に偏りがあれば、やはり力は発揮できず、体が硬くなったり、軟弱になったりします。 こうしたことを表現するのに虚実は都合が良いのです。 このように陰陽は整体の反応を表すとき、水や物質的な条件を勘案して、寒熱虚実と言う退避の条件が与えられて、様々な人の体質を見極めるために利用されているのです。