疳の虫(かんのむし)とは乳児の異常行動を指す俗称とされています。
小児から学生の鍼灸についてはこちらをお読みください。

こまで分かった鍼灸医学-基礎と臨床との交流 脳機能および中枢神経疾患に対する鍼灸の効果と現状

鍼刺激と大脳皮質局所血流

鍼灸医学の化学的な基礎理論

上記リンクは鍼灸刺激が、脳中枢に作用し、自律神経の働きに作用するメカニズムを明らかにしています。

疳の虫は

夜泣き、かんしゃく、ひきつけなどを指しますが、当院では子供の発達過程で、脳神経に負担がかかった時、それが主に自律神経のバランスを崩し、様々な体調不良を来すものと考えています。

昨今の研究で、この種の症状は遺伝的な要素が強いことが分かってきました。

「かん」強い子、遺伝子変異で…秋田大など解明
http://www.yomiuri.co.jp/science/20160526-OYT1T50023.html

「この病気は、特定の遺伝子が変異することで、痛みを脳に伝える神経が発作的に過剰に高ぶり、わずかな刺激で月に10〜20回程度、手足の関節などに鈍い痛みを生じさせる。言葉を覚えると「痛い」と訴えるようになり、中学卒業頃には症状は軽くなるという。」

ですので、思春期の様々な症状も、疳の虫の延長上にあるものと思われます。
当院には、思春期の情緒不安定や、過敏性腸症候群、頭痛、不登校などが組み合わさった症状でのご来院がしばしばあります。
疳の虫は自律神経失調症の子供版の要素があり、その子の性質や生育環境によって、子供版パニックや、躁鬱、情緒不安定などが現れ、引付や痙攣にまで症状が急速に悪化するものと思われます。
さて、昔から鍼灸が疳の虫に効果があるとされておりますが、鍼灸が自律神経に作用することと関係が深いようです。

鍼灸刺激の化学的作用については上記リンクをご参照ください。

施術の流れ→
小さなお子様には、少ない刺激で刺さない鍼を行います。
中高生であっても、自律神経症状が主ですので、痛みの強い刺激は行いません。
小さなお子さんは6日ほど連続して鍼灸を行い、20日ほど間を開けて、また鍼灸を6日ほど行うと言うサイクルを、3か月から6か月続けます。
その後は症状によって、変わりますが、月に2回から1回程度に減ります。
思春期に伴う症状の場合は、週に2回程度を半年から1年ほど続けます。
施術期間は症状が続いている時間によります。
例えば半年前から症状がある場合、半年くらいかかってもおかしくないとお考えください。
心と体の成長が大きく関与しますし、家庭環境も影響しますので、即効的に症状が改善することがあっても、また同じような生活をしているとぶり返します。