中耳炎に対する鍼灸は、基本的に風や細菌感染の予防から始まります。
小児から学生の鍼灸についてはこちらをお読みください。

風邪をひくと中耳炎になりやすいお子様がおります。
耳漏「みみだれ」が出ると、耳鼻科で切開されることが多く、痛いですし、お子様は恐怖します。
何度も繰り返すと、かわいそうです。
 
 鍼灸治療の流れ→
耳の弱いお子様は耳の下、胸鎖乳突筋周囲が強張っていることが多いです。
頸肩背中の緊張状態を緩めて、全身の自律神経のバランスをとると免疫力が上がります。
普段から風邪をひきにくくするための体質改善が重要です。
耳と関連する頸肩周囲の緊張をほぐすために、マッサージと刺さない鍼で優しく刺激すると共に、風邪予防のための施術としてお灸を併用します。
週に2から3回の施術を、3か月程度続けることをお薦めしています。
 
  中耳炎の原因の多くは、耳管経由での細菌感染です。
耳管が生理的に短い小児はなりやすいです。
上気道炎が多い冬に多くなります。
習慣的に鼻すすりをしていると、中耳が陰圧になりやすいので、細菌が中耳に流れ込みやすく炎症を起こしてしまいます。
くしゃみで急激に内圧が変化しても、中耳炎になりやすいです。
したがって、鼻炎や咳を伴うような疾患に合併しやすいです。
起因菌は、インフルエンザ菌、肺炎球菌の2つが最も多とされ、その他モラクセラ・カタラーリスが原因となりやすいです。
これらの感染症が、細菌による中耳炎の9割以上を占めるとされています。
 昨今これらの細菌が抗生物質に対する耐性化を示すようになり、問題となっています。
お子様をお持ちの皆様の立場では、抗生物質を多く使うことに、不安を感じてらっしゃると思います。
しかし抗生物質の性質上、使い始めると菌を殺すまで使い切らないと、菌に耐性を持たせてしまう格好の原因となってしまいます。
いったん始めたら中途半端に抗生物質を飲むことを、安易に中断してはなりません。
 細菌以外では多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)の好酸球性中耳炎を合併などが上げられます。
プールなどで耳に水が入っても、外耳と中耳は鼓膜によって隔てられているため、基本的に急性中耳炎にはなりません。
 
 中耳炎は特定の病態を指すものではなく、通常は急性中耳炎を言います。
お子様では夜中に痛みを訴えることが多く、板井川を枕に押し付けています。
風邪に伴って発症することが多く、慢性化しやすいです。
  急性中耳炎は中耳に炎症が起こっている状態で痛みが強いです。
発熱、聴力低下を伴って、鼓膜穿孔を起こした場合には、耳だれ(耳漏)が出てきます。
通常三日程度で自然に治りますが、それ以上長引く場合は抗生物質を使用されることが多いです。
それでも症状が悪化する場合は、耳鼻科にて鼓膜を切開することがあります。
  慢性中耳炎は急性中耳炎の後鼓膜が穿孔したものです。
手術が必要なこともあり、耳漏を止める場合に、抗生物質の投与と耳の処置が行われます。
  滲出性中耳炎は中耳に浸出液がたまっている状態で、急性中耳炎後に起こることが多いです。
普段の痛みはそれほどでもありませんが、飛行機に乗った際に耳が痛くなったり、着陸後に痛みは治まったのに耳が聞こえにくくなったりします。
基本的には自然軽快します。
アレルギー性鼻炎を伴う場合には治癒が遅れる傾向があるとのことです。
自然治癒しない場合は鼓膜石灰や、抗アレルギー薬を使用することもあるようです。
  真珠腫性中耳炎は中耳に真珠腫ができたために、中耳に炎症が生じた状態です。
真珠腫瘍は癌ではありませんが、上皮が存在しないはずの鼓室内に、何らかの原因で上皮細胞が侵入して増殖したものです。
難治性の耳漏、聴力低下、痛みがあります。
内耳に進行した場合には、めまいが出やすいです。
頭蓋内に進展した場合にはそれに応じた神経症状が生じます。
手術が必要な物もあり、細菌感染症の場合には抗生物質投与が一般的です。
  好酸球性中耳炎は気管支喘息患者にみられる事のある難治性の中耳炎です。
ニカワ状の耳漏(耳だれ)が特徴で再燃寛解を繰り返し、感音難聴が進行する場合もあります。
治療法は確立されておらず、鼓膜へのチューブ留置術や中耳内へのステロイドの局所投与、ステロイドの全身投与などが行われています。