漢方では、肝臓は血液を貯蔵する重要な役割をしていると定めており、剛健で疲労に耐える特徴を持っているとしています。 血液の貯蔵には、全身の血液量の調整と言う意味も含んでおり、抹消の血液量の低下による症状を、血虚とし、眩暈や視力低下、筋力の低下などを上げています。 「将軍の官」と称し謀慮をつかさどるとされています。  謀慮とは、知謀と考慮のことです。 漢方では五臓にはそれぞれ五神五魂があるとしており、精神活動の源泉とされています。 それは人の営み「生理活動」が精神活動と密接な関係があると言う意味であり、現代医学的な精神活動は「脳」で完結すると言う考え方とは異なります。 当然ですが、頭部を破壊されると、正常な精神活動ができないとか、死んでしまうこともあるとか、そのような事実は理解されています。 ですから精神活動が脳と密接であることは漢方でも理解されています。 ストレスを感じると胃が痛くなる人も、呼吸が苦しくなる人も、下痢になる人も、汗をかく人もおります。 そうした反応に色付けをするためのカテゴリー訳に、五臓と精神活動との関係性が想定されているのです。 五臓理論で重要なことは、五つのカテゴリー訳の中では、どのようなことが想定されているのかを理解することです。 現代医学と比較することが重要な訳ではありません。 もうすこし先に話を進めると、現代医学で明らかにされたことを、では漢方の中で活用するときには、どのカテゴリーに組み込めば良いのかと言うふうにしていく必要があります面白い話を一つ。 移植医学が発展しております。 肝臓や腎臓を他人から移植された人の話です。 移植を受けた患者さんの趣味や嗜好が、移植に同意した方の趣味嗜好に類似している例がいくつもあるようです。 飲めなかった酒が飲めるようになったり、食べ物の好みが変わったり。 ようするに内臓はシステムとしては、化学的な変化をもたらす臓器と組織ですが、そのあり方が変わることで、人の健康を取り戻すだけでなく、趣味嗜好をも変化させうるのです。 漢方ではそうした内臓機能の充実と精神活動の充実に、密接な関係があると考えられています。 筋の屈伸動作は、肝臓の正気の潤養によって行われると考えられています。 さらに爪と筋は、密接な関係を持っており、肝臓の精華は爪に現れるとされています。 肝臓の正気は、目に通じ、両眼の視力は、肝血によって受容されるとしています。 急性の両眼の腫脹・発赤・疼痛は、「肝火上昇」(肝実証)です。 慢性病としての眩暈・目の乾き渋り・あるいは所謂霞目は、血が肝臓を養わない肝虚証です。 このような整体のパーツの健康と、血の充実を把握することで、五つのカテゴリーの一つである肝臓の働きを推し量ることができるのです。 。